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Emba Allison

崖っぷちからの救出 - 日本の自殺対策

更新日:10月15日




毎年9月10日は「世界自殺予防デー」であることをご存知でしょうか。悲惨なことに、世界の自殺者数の上位に日本がランクインして久しく、統計的には15分に1人の割合で自殺者が出ていた時代もありました。厚生労働省のデータによれば、現在、日本の15歳から34歳の死因の第1位は自殺です。さらに東京大学によると、2022年には18歳以下の10代の若者が514人、自殺で命を落としています。これは、1978年に記録が始まって以来、この年齢層で最も多い数字です。


東京の鉄道網を利用していると、生活のあらゆる場面において時間に正確なことで知られるこの国で、電車の遅延に遭遇することがあります。東京で電車が遅れる一般的な原因は「人身事故」です。東京および首都圏では、1日に少なくても1件、電車における自殺事故が起きています。


なぜ日本では、特に子どもや10代の自殺率が高いのでしょうか? その理由には、発見されていない、あるいは隠れた精神的な問題、家族関係の崩壊、日本では最も悪質な虐待のひとつであるいじめを含む、身体的・精神的虐待の被害などが挙げられます。


学業へのプレッシャーや学校でのいじめを理由に不登校になる子どもたちに焦点を当てた新聞「不登校新聞」の編集長、石井志昂氏は、日本の小学生から高校生までの長い夏休みの終わりは、子どもの自殺が激増する時期だと指摘します。夏休みが終わって9月に学校に戻るというストレスが、日本の多くの10代や子どもたちを崖っぷちに追い込み、悲しいことに自殺に追い込んでしまうのです。


自殺率が高いもうひとつの要因は、助けを求めることが苦手な国民性にあるかもしれません。日本の学校で数年間働いたゾエ・ジャパンのスタッフも以前、精神的な問題に悩む教師や生徒に出会ってきました。精神疾患は弱さの象徴と考えられる場合があるため、誰かが精神的な問題に苦しんでいる場合、それを解決するのはその人自身の問題とみなされ、精神的なサポートを求めることに対する恥意識や自己責任論が重く当事者の方にのしかかります。


予防への道

白浜レスキューネットワークは、西日本を拠点とするクリスチャンが運営する自殺防止のためのNPOで、恥や絶望感といった同じような感情を抱えた人々が助けを求めてくるのを目の当たりにしています。崖っぷちに立たされた人たちは、文字通り何百キロも旅をして、驚くほど美しい海辺の町にある、海を見下ろす三段壁という「自殺の名所」として有名な場所で人生を終えようとやって来ます。人々が遠くからやってくる理由のひとつは、誰にも知られずに死にたい、家族や地元に「迷惑をかけたくない」というものです。この地域を訪れたゾエ・ジャパンのボランティアは、海や山、美しい夕日があるこの驚くほど美しい地域にわざわざ足を運ぶ日本人が、精神的な圧迫や、霊的な暗闇が重くのしかかっているがために、周囲の美しさを完全に素通りしてしまうという事実に唖然としたといいます。


白浜レスキューネットワークは、定期的に崖を巡回し、近くの教会や教会が経営するカフェやお弁当屋で、避難所や働く場所を提供するなど、危険にさらされている人々に手を差し伸べています。自治体とのパートナーシップのもと、同NPOは無料のレスキュー・ホットラインを開設しており、崖のふちには聖書の言葉が書かれた看板が設置されていました。:「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。」(イザヤ43:4)「イエスは再び人々に語られた。『わたしは、世の光です。わたしに従う者は、決してやみの中を歩むことがなく、いのちの光を持ちます。』」(ヨハネの福音書8:12)

無料ホットラインの電話番号の上には、こう書かれています:「重要な決断をする前にご連絡ください。ご連絡をお待ちしております。」

崖っぷちで人生を終えようとしていた多くの人々が救われ、道であり、真理であり、命であるイエスに真の希望を見出しました。

ゾエ・ジャパンのスタッフは、ホットラインに助けを求めてくる子どもたちを通じて、日本における自殺の問題に向き合っています。ゾエ・ジャパンは、危険にさらされている子どもたちや10代の若者たちが、このホットラインを通じて、訓練を受けたスタッフと繋がり、崖っぷちに立たされている子どもたちに、希望への重要な一歩となるような傾聴、情報提供、紹介などの予防的な支援を提供しています。ホットラインに相談を寄せる子どもたちのほとんどは、オンライン上、あるいは家族や学校の教師などによる性的搾取の被害者です。サポートするための資源が限られ、性的搾取を経験した子どもたちに対応できる組織も少ない中、ゾエ・ジャパンは専門的なサポートを提供し、子ども向けのSNSキャンペーンやオンライン教材を通じて意識を高め、子どもたちや家族が被害から身を守る手段を身につけられるよう、日本各地のコミュニティでセミナーを開催しています。


不登校新聞の石井志昂氏が危険な状況にいる子どもたちについて述べているように、私たちができることは、子どものいつもと違う行動に注意を払い、言葉や言葉以外のサインに注意深く耳を傾けることです。子どもたちは、言葉(あるいはその欠如)、体調(例えば、体調が悪いとか、学校にいても保健室にいることが多いなど)、宿題ができない、孤立している、ネットに長時間いる......など、さまざまな方法で「SOS」を発しています。私たちは皆、意識を高め、自分の身の回りにいる危険にさらされている子どもや大人を注意深く見守り、よい情報源がどこにあるかを知ることで、自殺予防の役割を果たすことができます。



以下は、私たちが日本の自殺予防の一翼を担うために利用できる情報源です。



ゾエ・ジャパン10代までの相談窓口


国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト


TELL Lifeline - うつ病や自殺願望を持つ在日外国人コミュニティーのために(英語と日本語でカウンセリングとサポートが受けられる)


自殺予防のために日本の宣教師が開発したカード「HOW I GOT HERE (HIGH)」


HIGHカードは日本語と英語のバイリンガル仕様で、日本の小グループ、教会、学校、地域社会で、感情を明確に表現するために使うことができます。HIGHカードを使用する目的は、自分自身を理解すること、そして自分が人生の中でどのような状況にあるのかを理解することです。

また、このカードは、自分が人生においてどのような状況にあり、それについてどのように感じているかを他の人に説明するのにも役立つ物です。


World Suicide Prevention Day - Sep 10, 2024(World Health Organization resources)



参照


白浜レスキューネットワーク (和歌山、白浜)


International Association for Suicide Prevention


Using deep learning to identify teens most in need of mental health support

University of Tokyo Press Release (December 2023)


Increase in child suicides in Japan (The Mainichi, August 2021)


Impact of the Japanese government’s general principles of suicide prevention policy on youth suicide from 2007 - 2022 (Cambridge University Press, December 2023)


Japan Suicide Countermeasures Promotion Center (Ministry of Health, Labour and Welfare)


One every 15 minutes


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